猫も杓子も記事を書く

140文字ではかけないことをかこうと思います。

僕たちの嘘と真実

2020-keyakizaka.jp

 

今日、「前夜祭イベント中継付き上映会」と銘打って公開前日に鑑賞できるイベントがあったので行ってきた。
観た感想としては、良かったという気持ち半分、不完全燃焼だなという気持ち半分。お腹いっぱいという気持ち半分、もっと観たいという気持ち半分。改名・ラストライブが控えているというタイミングでの公開は、記念碑的な意味でも映像記録という意味でも結果的には良かったと思う。イベントの中でゆっかーが「楽しんで見てほしい」と言っていたけれど、とてもそんな感情にはなれなかったことも付け加えておく*1

<ここからネタバレ>

 

 

 

 

よかったところ

 

今回の映画は少なからず平手友梨奈を中心に据えた構成になっていて、必然的にメンバーから見て「平手友梨奈とはいかなる存在なのか」という問いとも向き合うことになる。
彼女たちのライブやMVを見ていると(意図的なのもあるのだろうが)グループの中で平手友梨奈が他のメンバーから一歩も二歩も離れたところにいるような印象があって、それがあまりにも異質的であるがゆえに、誰よりも欅坂の内側にいるように錯覚したことが何度かあった。今回の映画の中でメンバーが語った平手友梨奈の姿や、MVやライブの舞台裏の平手友梨奈の姿を見ていると、その錯覚は強ち間違いではなかったのだと思った。驚きと言えるような驚きはなかったけれど、ドキュメンタリーとしての姿を見られるというのはこの映画の本来あるべき価値なので、それだけでもファンとしては意味のある映画だと思う。


平手友梨奈がセンターとしてグループの中心に居続ける中で、ハードなパフォーマンスやグループに向けられる視線へのギャップに苦しみ、肉体的にも精神的にも摩耗していくのを見るのはにわかである自分も辛かった。それはメンバーもこちら以上に感じていたはずで、けれどおそらくその苦しみ以上に平手友梨奈に依存せざるをえない部分があったのかもしれない、とこの映画を見て思った。あかねんも「平手のバックダンサー」と言っていたし。それを踏まえるとグループの改名という決断に至った理由も、なんとなくだけど理解できた気がしたし、それを乗り越えようとしていく彼女たちが新しいグループで何を見せてくれるのか期待してやまない理由にもなった。

 

EDが「太陽は見上げる人を選ばない」なのもとても良かった。個人的にもっとも欅坂らしい曲だなというのもありつつ、遅いよという感じだが、この間の配信ライブで見てからとても好きになった曲だったので。欅坂というグループに対する愛、これからの世界に対する希望が詰まっていて心憎い選曲だと思った。

 

物足りなかったところ

この映画の公開が決まったと知ったとき、最初に思ったのは「ピースが欠けて絶対に完成しないとわかっているパズルのような映画になるのではないか」ということだった。ドキュメンタリーである以上、メンバーのインタビューやその時々の映像を通して、グループの片鱗を覗くことはできるけれど、欅坂の場合、決してそれだけでは埋まらないところがあるんじゃないかと思っていて、それが何かというと「平手友梨奈」の存在であり、思いであり、言葉である。

彼女について聞かれた他のメンバーが、「彼女の考えていることがわからない」「私達が悩んでいるところは全く違うところで悩んでいると思った」と答えているのを聞きながら、この予感は確信めいたものに変わった。彼女にとって欅坂46とは、そこにいるメンバーとは何なのか。改名するという未来を前に、欅坂46を愛した彼女が何を思うのか。欅坂46というジグソーパズルは、グループのセンターとして立ち続けた彼女の言葉がないと、彼女自身の言葉でないと絶対に埋まらない。勿論それは映画を作る側も分かっていたと思うし、欅坂から次の場所へ進もうとするというタイミングでの構成のバランスというのもあるだろうし、難しさはあったんだろうなと思う。彼女が口を開きたがらなかったというのが一番ありそうだけれど。

あとはやはり他のメンバーにもインタビューしたんだろうと思うので、その言葉も欲しかった。土田晃之さんもラジオで言っていたけれど。特にぺーちゃんや上村莉菜ちゃんなど、あまり自分の思いや言葉を発信することが少ないメンバーが何を語っていたのか、というのはほとんど知る機会がないと思うので気になる。自分の推しメンの場面も・・・そんなになかったなあ。

一番ビックリしたのはゆいぽんが平手友梨奈について聞かれたとき、「他のメンバーとは違う思いがあるからこの場では話せない」という趣旨の発言をしたことで、それだけ彼女のなかに強い思いがあるのだろう、さもありなんとは思えなかった。いや、この映画で言わないでいつ言うのよ・・・という。まあそれもゆいぽんっぽいといえばぽかったけれど。

 

おわり

個人的にドキュメンタリーというのはファンの心を抉るぐらいの生々しさがあって丁度いいと思っている、とりわけこのグループに関しては特に。観る前からそれを自分の中で十分覚悟していたはずなのに、この映画がグループ、メンバーに対して発する熱量にまんまとあてられて感想を書き殴ってはみたものの、多分これも正鵠を射ている感じがしないというか、自分の主観が先行していて正しい言葉になっていない感じがする。つまりはわからないということです。なので多分あと何回かは見に行くと思う。

確かなのは映画を観てよかった、まがいなりにも欅坂が好きで良かったという感情がより揺るぎないものになったということです。このまま最後まで、そして新しいグループとしての彼女たちの勇姿も見届けたいと思う。ラストライブ現地で観たいけど当たらんだろうなあ。

*1:みてがっかりした、つまらなかったというような負の感情になったということではなく、ハイカロリーすぎてポジティブな感想を持って帰ることも出来なかったという意味