猫も杓子も記事を書く

140文字ではかけないことをかこうと思います。

大腸内視鏡検査との戦い

過日、とある経緯で大腸の内視鏡検査を受けた。結果から言うと想像していたよりも辛さもなく、身構えていた割にはすんなり終わったというのが感想ではある。ただ途中いくつか辛いポイントはあって、そこさえ乗り切れればという印象。とりあえず覚えている範囲で書いていく。

検査日が決まってから

とりあえず病院で検査日を決めると、検査についての説明を受けるのと検査食を買うことになる。大腸内視鏡検査の際は大腸の中を空っぽにするため2日前から食事制限や薬の服用などの縛りが発生するためだ。

検査食はいくつかの中から選べるようだったが、よくわからないメーカーとグリコの2択だったのでとりあえずグリコを選んだ。まあどれを選んでも大差なくまずいだろうとは思うのだが。パッケージに書いてあった「大腸内視鏡検査のために開発された食事です」との一文、「食事を開発する」というワードが今そこにあるSFの発想だなとゾクリとする。

その後何故か採血が始まる。今に至るまで、「なぜ採血が必要なのか」をちゃんと聞いていないのでなぜ針を刺す必要があるのかわからないままだ。聞いておけばよかった。そして僕は採血がとにかく苦手で、痛いのもそうだが、自分の身体に針が刺さっているところを今なお直視できない。以前健康診断の採血で物は試しと血が抜き取られるさまをガン見していたら失神したことがある。

更に自分の場合、なぜか血管が見つからないというのがある。通常肘の内側、関節付近の血管から取るのだろうが両腕ともなかなか浮き出てこないらしく、一発で注射がうまくいった看護師をほとんど見たことがない。これも昔からで、ある人からは新人看護師泣かせだとまで言われた。知らんがな。結局このときも手の甲にぶっ刺して血管を取ったのだった。このときが一連の検査の中で1番痛い思いをした時間だったと思う。

2日前から前日

受診後検査日まで数週間あいだが空くため、この間検査日2日前までは普通に過ごす。ただ、受診してから「そういえば便通の間隔が開いている気がするなあ」と思ったので食生活はそれなりに食物繊維に気を使うようになった。と言ってもこんにゃくゼリーを食べたり、コンビニでひじきのサラダを買うようにしたりとその程度であるが、料理ができなくてもその程度が手軽にできる、いい時代だなと思う。

検査はそれなりの時間がかかるので休みを入れた方がいいです、なんなら前日も休みを入れたほうがいいですと医者から言われたのでそのとおりにした。実際過ごしてみると断然その方が良いなということに気がつく。検査日前日に食べる検査食はカロリーも量も控えめなので、老人ならともかく20代の人間が仕事するためのエネルギー補給に足る食事とは性質が異なる。何もせずただ食べるだけの生活をしたほうがよいとわかった。とくにお粥が水っぽい上に味も薄く、食事ではなく何らかの「摂取」に近い。塩とかかけたかったが消化に影響が出るのが怖くてできなかった。ちなみに食事制限は2日前から始まり、野菜や発酵食品、乳製品などの消化しづらい食べ物の摂取ができなくなる。

前日の食後に少量の下剤を服用する。朝の便通のためなのだろうと思ったが、薬の効果か、いざ寝ようと思ったときに腹の少々張ったような感じとぐるぐると鳴る音のせいでほとんど眠れなかった。消化している証なのか胃腸が大きく刺激されているのかわからないが、そこらの便秘薬よりはよほど強い薬なのだということは身にしみてわかった。

当日

当日は食事はだめで朝からひたすらマグコロール水溶液とチェイサーの水を飲み続ける。味は薬っぽいスポドリという感じで夏で喉も渇く季節なので決してだめではないが、がぶ飲みは許されないため、2リットルを延々と飲まねばならず後半は流石に飽きてくる。合間、襲う便意のためトイレに駆け込む。便は完全に液体として出てくるので、感覚としては誇張なくお尻からおしっこを出すのに近い。これがマグコロールの威力である。煩悩に塗れた僕は便座に座りながらこれが浣腸プレイか・・・と未知の扉の先の世界に思いを馳せていた。

飲み終え、排泄も終わったあとは支度をして病院に向かう。検査着に着替えていきなり麻酔のため点滴をするというので面食らう。聞いていない!と思ったが前言っていたのを忘れていただけだと思うので淡々と従う。点滴なんて小学校の時骨折して入院して以来のことだ。

点滴がだいぶ入ったところでそのまま検査。麻酔のおかげか内視鏡が入っても痛くなく、奥まで進んでいくカメラの感覚とガスで膨らむお腹の感覚だけがある。エッチなビデオを見ているとたまに肛門を使ったプレイングがあるが、なるほどこういう感じなのだなとまたどうでもいい世界の扉に手を掛けかける。もちろん自分の大腸の中なんて初めて見るのだが、孔みたいなものがあちこちにある以外はどこまで進んでも血管が縦横無尽に走るピンクの腸壁蠢く世界で、あたかも真・女神転生シリーズのような3Dダンジョンを見ているような気分だった。

結局大腸のどこにも異常はなかったと説明を受けて安心する。終了後、少なくとも大腸は空っぽだということを忘れ、今まで通り揚げ物を食べてしまい、ギュルギュルなるお腹に苦しむことになるが、それはまた別の話。