猫も杓子も記事を書く

140文字ではかけないことをかこうと思います。

わたしの楽曲10選2019

はじめに

adventar.org

これを読んでいて触発されたので書く。今年出た楽曲で、かつサブスクで聞ける*1楽曲を中心に選んだ。だいぶ狂った選曲になっているが、できれば聞く楽曲のジャンルが偏っている!などのクレームはやめて、静かに距離をおいてほしいと思う。
今年は夏場〜下半期に、ANiUTaからランティス・フライングドッグのサブスク解禁が相次ぎ、アニソンサブスク派にとってとても大きな意味を持つことになった。がそれはまた別の機会に。ちなみに紹介順と順位は相関しない。

(とはいいつつアニソンは全体の半分ぐらいしかない気がする)

1. fhána 僕を見つけて

今年のアニソンで一番「良かった」トラック。昨今見られるようなキャッチーさ・展開の多さと対比的なストリングスを生かしたしっとりとした、ミディアムなバラードというのは「王道を攻める」という形で聴き応えがあった(どちらが善し悪しではなく)。とはいえこの曲も残り2分に急激な展開があるのだが。

2. 夏川椎菜 グルグルオブラート

前作の「ログライン」、そして「Ep01」と、本当に2019年は夏川さんありがとうございましたという年だった。こういう事を言うと怒られるかもしれないが、天さんや(●・▽・●)と比べるといい意味でサブカルっぽいというか、自分の描きたい世界に対するこだわり、エッジっぽい印象は既発のシングルから感じていたところで、両方ともそのへんが大爆発していて、とてもアーティスティックでありながら、曲の個性を存分にぶつけた多面的で飽きのこない作品になっていたと思う。この2作から一曲ということで、散々悩んだ挙げ句これにした。思春期っぽいひねたような歌詞、虚勢のようなポップなメロディ、なんとなくかつて思っていた (*>△<)の印象に近いなあと思ったので。

3. オーイシマサヨシ園都

fhánaがアニソン界で最も知性的な音楽を奏でる集団だとしたら、この人は(いい意味で)最も狡猾なアーティストだと思う。本当に褒めてるんですよ、はい。
作曲家として、シンガーソングライターとして、OxTのボーカルとして、多面的に活動しながら、「どういう曲を作ったらオタクの琴線に触れるか」をよく理解してるんだろうなあ、と勝手に思っている。
そのあたりはこのインタビュー*2からもうかがうことができる。原作やアニメの世界観、オマージュなど、様々な要素を合わせてオーイシ氏の楽曲として再構築させていることがわかる。その探究心と個性が楽曲オタクの心を引き寄せてやまないのだろう。令和時代のアニソンの幕開けとして残って欲しい一曲。

4. 欅坂46 否定した未来

欅坂の、というよりは長濱ねるのソロ曲で、そして卒業前のラストトラックということになる。
グループに入る前のほんの少しの掛け違いからひらがなけやきとしても、また漢字欅としても駆け抜けることになったねるにとって、活動中はずっと傍らに「これでいいのか?」という戸惑いがあふれていたのかもしれない。 最も大きかったのは、同じ境遇をともにするメンバーが誰もいなかったことだろう。強いてあげるならてちこか*3。そんな心情を水鏡のように鮮やかに映した詩を書くおっさんを僕は一辺倒で憎めない。

もっと もっと ちゃんと足元を見つめて歩きたい
自分のペースで
何か無理して背伸びをしたり 我慢をしたって 後悔をするだけ

落ち着いたような、少し跳ねるような曲調も、涙で終わりたくないという活動最終日、イベントやラジオでの長濱ねるを思い出し、僕はまた涙を流す。

5. 日向坂46 JOYFUL LOVE

「キュン」というキャッチーな楽曲を授かった日向坂のデビューシングルの中で、この曲は前身のひらがなけやき時代から標榜してきた「ハッピーオーラ」、幸福と愛について歌った曲。デビューして間もないグループが、ラブソングでありながらこれだけ母性的で俯瞰的に、慈愛に満ち満ちた曲を歌うというのが勇気いるなと感じた。それは多分ひらがなけやきとしての活動があったからできた曲なのかもしれないと思う。

6. 小沢健二 彗星

僕が小沢健二の楽曲と出会ったときにはもう彼は日本を去っていた。YouTubeでしか断片的に知り得なかった、彼の奏でる言葉への熱狂が今年実体験として、しかし(たぶん)あの時よりも遥かに静かに現れた。正直本当にもうオザケンは「現れない」と思っていたので、それがいい形で真っ向から裏切ってくれたのが本当に嬉しかった。15年の空白を埋めながら、肯定しながら、次に進まんという歌詞、勇ましいストリングスが、僕に前を見る力をくれる。

7. PENGIN RESEARCH 決闘

このバンドからは少し遠ざかっていたが、この曲を境にまた聴くようになった。本当にやる気になるというか、身体の内側から覚めるようないい曲です。というか生田くん歌唱力のレベルが急激に上がりすぎでは・・・?堀江晶太氏は相変わらずメロディーでオタクの血を沸かす化け物。

8. the pillows ハイブリッド レインボウ - 30th version

厳密に言えば今年出た曲ではないけど、まあ間違いじゃないしなと思って入れた。pillowsの最もいいところは、立場や時間が変わっても、例え結成30周年を祝う横浜アリーナであっても、自分たちがいいと思った歌をブレず変わらず歌い続けるところで、最も好きなところだ。彼らはどんなに売れても、どんなにファンが増えても、自らを萎んだ飛行船と揶揄しながら、こんなものではない、道はなくてもまだ途中だと信じたいと、歌い続ける。バンドが進んできた道、現在地、これから進むログポース、pillowsの全部がこの曲に詰まっている。

9. B'z マジェスティック

この曲だけサブスクで解禁されていないので、YouTubeを見るか、CDから音源を入手するかしか方法がない。それだけの価値があると思わせてくれるのは、単に自分がファンだからというわけじゃなくて、31年目になっても今のB'zとしての答えを常に提示してくれるからだろうと思う。ボーカルもギターも、もちろんバックバンドもスタッフもプロフェッショナルなのだが、それを愚直に続けているからできることだと思う。ラグビーワールドカップのテーマソングとして話題になった「兵、走る」とかもいいんだけど、今作に関してはバンドとしての「円熟味」が一番見れるのがバラードなんじゃないかと思ってこの曲を選んだ。

10. 坂本真綾 火曜日

年の瀬に差し掛かろうかというタイミングでリリースされた大傑作アルバム「今日だけの音楽」に収録されている楽曲。一昨年か、のんこと能年玲奈さんがCMで「エイリアンズ」を歌っているのを見て、KIRINJIというバンドを認知するに至り(遅すぎる)、以降クレジットを注視していたのだが、この曲はそのKIRINJIの堀込泰行氏の作詞作曲によるもの。
まあ先にも書いたとおりアルバム自体が大傑作なので何を選んでも良かったのだが(なんか今回そういうのばっかだ)、この曲を初めて聴いた銀座線の電車の中で、くっきりと風景が脳裏に浮かんで夢遊したような感覚になったのが忘れられなくて、これにした。歌声も演奏も、それらが合わさった楽曲の持つ空気感も、何もかも心地よい。それでいてタイトルが「火曜日」っていうのがもう、匠。

おわり

楽曲の感想そっちのけでポエムっぽくなってしまった。先にも書いたが本当にサブスクリプションが飛躍的にコンテンツを手に入れて大きくなっているというのを肌で感じ*4、そのライブラリをつまみ食いするように音楽を楽しんだ一年だったので、本当に色鮮やかで楽しい音楽ライフだった。来年もたくさんいい曲と巡り会えるといいですね。

*1:自分がSpotifyヘビーユーザーなので、他のサブスクサービスとの差分は考慮していない点は許してほしい

*2:

natalie.mu

*3:詳しくは欅のキセキをやろうね

*4:この記事を書いている間にもサザンがサブスク解禁したし。