猫も杓子も記事を書く

140文字ではかけないことをかこうと思います。

tomorrow is another day.

今日、ベイスターズの2016年シーズンが終了しました。

 

昨年、首位から転がり落ちるように最下位に落ち着いたチームが、今年はどこまでやれるのか。
戦力補強といえるのはルーキーの今永と戸柱、ロマックとペトリックの二人の外国人、監督と何人かのコーチの刷新。つまりは未知数。
「WE PLAY TO WIN」というスローガンは、去年耳にタコができるほど聞いた「あとは勝つだけ」を彷彿とさせる。順位的には、決して期待できるような状態ではなかったと記憶しています。

 

事実、開幕してから4月中は馬鹿みたいに負け続けました。
なにしろ打線が起きてこない。1番白崎はいつの間にかどこかへ消えていき、筒香がホームランを飛ばせど空砲に終わる。
何度好投した投手の頑張りを無にしてきたか。梶谷の復帰だけがファンの心の拠り所。それでも沢山の客がハマスタに駆けつけていましたが、一方でまた今年もパッとしないまま終わるのかという恐怖もよぎりました。

梶谷が戻ってきて間もなく、打線が息を吹き返しました。本人はなれない打順に四苦八苦したり、相変わらず、時折見えるやる気のなさげに見えるスイングはファンを落胆させました。それでも彼の俊足はいくつもの好プレーを呼び、そのプレーに触発されるように、チームは少しずつ噛み合い始めていました。

「監督に就任したらパフォーマンスは封印する」といっていたとおり、エモーションを前面に出す中畑前監督とは違い、ラミレス監督は試合中ほとんど表情を変えず、ウインドブレーカーに手を突っ込みながら試合をじっと見つめていました。その姿にほんのりと、頬杖をつく権藤博監督の面影を感じるぼく。*1
その監督が「交流戦までに借金を返済する」ときた。これは1つ彼に乗せられてみるか。すると5月、あれよあれよと勝ちまくり借金を本当に返済してしまった。
石田や今永が投手陣を引っ張り、熊原が鮮烈に一軍デビューしたり、野川の出囃子でレスキュー!と叫んだのもこの頃でした。

交流戦はなかなか安定して勝てず、連勝したり連敗したりの日々が続きました。5割いけるかと思ったら楽天日ハムにボコボコにされたりとかね。なんとか3位にいるという感じでしたが、いつBクラスに落ちてもおかしくないなと思いながら見ていました。なかなかもどかしい中でチームを支えるピッチングを見せてくれた久保や山口は希望の光でもありました。

そこに現れたのが筒香嘉智。7月の筒香は敵将・緒方監督の言葉を借りるなら”神ってる”状態でした。彼の一振りで勝った試合もたくさんありました。彼のお陰でチームはぐいっと3位の座を引き寄せました。
8月の山崎康晃大乱調、Aクラス攻防の阪神戦被3タテ、ピンチも波も有りましたが、その度に土俵際で踏みとどまって戦ってくれました。そして雨中の9/18を迎えるのです。

 

去年のことがありましたので、CSなんて決めるまでは信じないぞと思っていましたが、1つ勝つたびに現実味を帯びてくる「3位」というポジションは、CSという制度が始まってからずっと、自分たちにとって「無縁だった」ところで、それがだんだん「喉から手が出るほどほしい」に変わっていくのを多くの人が感じていたのではないでしょうか。今までだったら、「今年のドラフトどうする?」を居酒屋で論じていたはずなのに、まだ応援できるなんて。
ぼくはスタジアムのファンの声援からそれを感じていました。”君たちは今までどこにいたの?”というくらいたくさんの、ベイスターズファンがスタジアムを埋め、ネットの中継に集い、攻撃しているときも、守りについたときも、いつ何時でも声援を送り続けていました。間違いなく、チームの力になったことでしょう。

 

3位から、ある意味真の挑戦者として挑んだCSは、巨人戦も広島戦も、文字通り激闘でした。
エース山口俊の影に隠れながらも、しっかりと自分のピッチングでチームに勝利を呼びこんだ第二のエース井納。攻守で要としてチームを底上げしてくれた倉本。ファームでずっとやってきた努力を決勝タイムリーという形で実らせヒロインを掻っ攫う嶺井。骨折してもなおハッスルプレーを見せる梶谷。最終盤で肉離れにより離脱し、今季絶望かと思いきや必要なときに颯爽と戻ってきてピシャリと抑える須田。筒香の次を任され、重圧の中天性と努力の打法でヒットを積み重ねてきた宮崎。スタメン起用即2ランで終戦を止めたエリアン。
2冠王になった筒香や、9月の大ブーストでコンディションを上げているロペスはまともに勝負してもらえないかもしれない。そんなプレッシャーの中で、ここに名前を挙げていない選手を含め、一丸となって必死に戦っている姿は多くのファンを揺さぶりました。

それでもカープとの間には、チームとしての力に大きな隔たりがあったように思います。本当に強かった。
ジョンソン野村にほとんど無抵抗のまま打線がやられてしまったこと。ロペス筒香が完全に封じられてしまったこと。田中広輔というシリーズ男の存在もあったように思います。
この差をあとどれくらいで追いつき追い越し、ひっくり返せるのかどうか、ぼくには分かりません。それでもチームにとって、負ければ終わりという環境下での戦いが、選手にとって貴重な財産になり、この経験が土台となってこれからのベイスターズに活きていくと思います。というか、常勝球団になるならそれしかない!

ぼくはこの短期決戦の中で、何年ぶりかに「負けるのが怖い」という感覚を味わいました。シーズンが終わってしまう。あのプレーが水の泡になってしまう。それでもファンにできることは選手たちを信じて、応援すること、それしかない。
恐怖と隣り合わせにある快楽に、ぼくは酔いました。そしてそれは、勝つことでしか報われない、あまりに明確で、残酷な世界でもありました。しかしそれでも、このチームにとって新たな足跡を残してくれたこともまた事実です。

暗黒時代からの脱却。偶然にも杜野まこさんが今日のモバマスのライブ中、同じ言葉を使っていましたが*2、「脱皮」です。ファンもチームも、次のステージに向かって行くために、ようやく新しい皮を手に入れました。それを誇りに、来年は「本当に強いチーム」としてのベイスターズが見られることを楽しみにしています。

 

最後に、今年本当に頑張って、ぼくらファンに夢を見せてくれたナインの皆さんに、この歌からお借りして届けたいと思います。

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泣いて 泣いて またいつか泣きやんだら

小さな胸をはってもいいんじゃないか

どうやったって 毎日は過ぎるし

くやしさ 少ないほうがいい 

 

*1:そういえば権藤監督も、優勝したときはルーキー監督でしたね。結局、監督としてチームを率いたのは横浜での2年間だけだったわけですが、今のベイスターズをどう見ているのか、気になるところですね。

*2:衣装のブーツが壊れてしまったことをこう表現していた。やはりあの方は素敵指数が高い。