この間のことのように思い出す、去年のクライマックスシリーズ。
東京ドーム。あのプレーがなければ、あの一球がなければ、負けていたかもしれない。そんな薄氷の勝利の連続だった。そして思い知らされました。あれが勝負の「あや」だったのだと。
乗り込んだマツダスタジアム、広島相手に王者の力を見せつけられ、「あや」はもう、ほとんどなかった。点差以上の、目に見えない歴然とした差がありました。
それでもファンは讃えました。自分も含めて。初めてCSで戦うチームの勇姿を、ナインの激闘を、その目に焼き付けて。来年は少しでもこの経験を力に変えて、一回り大きくなったチームを、見せてほしいと。
あれから丸一年が経ち。
ほんの少しの希望と、覆い尽くすような不安の中、始まった2017年のCS。
見たことのないチームがあった。
誰かが打てなくても、誰かが補って点を取る。
誰かが抑えられなくても、誰かが補って流れを断ち切る。
シーズン中の成績も、相性も、関係なく。
全員が全員のために戦うチームが、そこにありました。
正直に告白します。
3位が決まった時、日本シリーズはおろか、甲子園を勝ち抜くことすら難しいのではないかと思っていました。強力リリーフ陣。侮れない打線。埋め尽くす熱心な虎党。相性の悪い阪神タイガース。勝てるのか?
でも予想に反して、チームは勝ち抜いた。
選手が泥まみれになりながら掴んだ白星を、みんなで喜びあった。
ファイナルステージが始まる前、去年のことが過ぎりました。シーズン、ほぼ互角に張り合ってきたとはいえ、相手はカープだ。あの強力打線、本拠地最強を誇る、広島東洋カープなんだぞ。勝てるのか?
でも予想に反して、チームは勝ち抜いた。
全員で勝つという気迫・執念・戦術。
勢いと実力で掴んだ白星を、今、みんなで喜びあっている。
19年。19年だぞ。
19年ってさ、長いんだよ。
オリンピック、ほぼ5回分。
衆議院選挙、7回やってる。(調べた)
今年の大学1年生は、まだ生まれてない。そんな、19年。
その間に、あの球団やあの球団は、何回優勝した?何回日本一になった?
横浜銀行と誂われ、 お笑い球団と謗られ、横浜高校のほうが強いと罵られ。
OBからも見放され、ファンも離れ、横浜スタジアムは閑古鳥、強さは変わらないけど、毎年のように変わる監督。親会社も変わった。
その空白の間に、ベイスターズに来て、ベイスターズを去っていった選手が、たくさんいる。海の向こうにもいる。
きっと、その人達の思いも乗せて、ここまできたんだと思う。
実感はまだないです。
明日になったらわかるのか。
日本シリーズが始まったらわかるのか。
まだ、わからないです。
確実に今言えるのは、「まだ、終わっていない」という、それだけ。
この先は19年前に通った道。その時を知る選手はいない。
みんなにとって初めての道。やっぱり不安もある。それは自分も同じ。
だけどもう、勝てないかもしれないと、弱気になるのはやめました。
ここまできたら、このチームを、横浜DeNAベイスターズを、信じるしかない。
それは、福岡ソフトバンクホークスが相手でも、関係ない。
3位だろうが、14.5ゲーム差だろうが、赤かろうが、青かろうが。
一切合切関係ない。
セントラル・リーグの代表として、選手とともに、戦う。
あと4勝。
その先に、チームが、ファンが、みんなが、
本当に求めていたものが、あるから。
「全てはこの時のために」