猫も杓子も記事を書く

140文字ではかけないことをかこうと思います。

ゆかりんの最後の「黒うさぎ」を聴いて思うこと

田村ゆかりのいたずら黒うさぎ」という番組がありまして。かれこれ13年も続いていたんですね。
その番組が先日、最終回を迎えました。
もっとも、収録自体はもっと前にやっていたようですが。

 

 

自分がアニメとかを見るようになって間もない頃(約10年位前だと思います)、いろいろな偶然が重なって、文化放送アニスパという番組に出会い、それ以降アニラジを聴くようになってすぐの頃に出会ったのが、黒うさぎという番組でした。
30分枠のうち、6~7割がメールトークで、コーナーも数ヶ月にいっぺん変わるかどうかという、ラジオとしての派手さはなかったように思いますが、ゆかりんの軽妙なトークと、放送作家である矢野さんのつられそうな笑い声が印象的でした。

当時からのゆかりんの人気がそうさせたのか、自分の中で無意識にそのラジオに引っかかるものがあったのか分かりませんが、気が付くと土曜日の夜は親の携帯ラジオを持って自室に篭もり、布団の中でラジオを聴くのが日課になっていました。まだRadikoもなかった頃です。
今もそうなのですが、土曜日の夜や日曜日の夜、文化放送では声優さんやアニソン歌手など、アニメファン・声優ファン層に訴求する番組をたくさんやっていて、ある意味、それらの入り口のようなところにいた黒うさぎが終わった後、寝時を失った自分は芋蔓のようにラジオの世界に浸かっていきました。自分が声優好きの道を歩み出すことになった決定的なファクターでもあります。

 その黒うさぎが終わるという一報を知った時、驚きやショックよりも「ついにか」という思いが先にきたことに、悲しみというか、寂しさというか、ある種の喪失感に近いものを感じました。自分がこのアニラジというものを聴くようになる遥か前から始まっていたラジオだったから、土曜日24時という時間に存在しているのが半ば当たり前のようになっていた気がしていたのかもしれません。

そんな黒うさぎの最終回は、あくまでも「黒うさぎ」でした。毎週欠かさず聴いていた頃からだいぶ時間が経ってしまい、がっつり30分聴くのが久しぶりになってしまったのですが、流れていたのは布団の中で聴いていたあの「黒うさぎ」でした。
長年ラジオを組んでやってきた作家・矢野さんですら見破ることができなかった、ゆかりんの僅かな心の揺れ。デビューして間もない頃からのゆかりんをある意味で支えてきた番組の最後を、感傷的になることなく、あえてなのか素なのか、此方側にほとんど影を感じさせることなくつとめていたように思います。

どきりとしたのは、本当に最後の最後、エンディングで放たれた「お仕事が嫌になる時もあったけど」という一節だけでした。今冬のライブが中止になったり、精力的に続いていたCDのリリースが間が空くようになったり、活動として不本意な時期が続いていた中で、この一言では到底収められないような葛藤を抱えていたはずだと勝手に思っています。

ゆかりんキングレコードから巣立ち、これからどこへ行くのか、どう活動していくのかは、4月になるまで窺い知ることはできませんが、どういう選択をしようと、これまでのゆかりんの記憶が消えることはないし、黒うさぎという番組の記録も記憶も残り続けていくわけですし、それが最善と信じて、こっそり応援しようと思います。

ぼくはゆかりんTOではないですし、(定義上の)王国民でもありません。そういう立場の人間ですが、それでも、今も声優のライブに通い続け、楽しむことができているのは、あの時の黒うさぎがあったからだと思うので、つらつらと書きました。楽しいひと時を本当にありがとうございました。